みなさん、こんにちは、理事の岡田明穂 in Osakaです。
以下、徒然なるままに…。
ビジネスモデルとは「どのように価値を創造し顧客に届けるかを、論理的かつ構造的に記述したもの」です(BMIA認定コンサルタント養成講座(基礎)テキストより)。
この定義からも、ビジネスモデルにおける核・要は価値提案(Value Proposition、以下VP)であろう点に関しては、ほとんどの方が異論なきところかと思います。
そこで、みなさんには、一度あらためて考えを巡らしていただきたく思います。それは、価値の源泉に関して。
みなさん、価値の源泉は、さてどこにあるのでしょうか?
その問いに対する回答を考えるにあたって、下記のイラストのようなイメージがわいてくる方は、少なくないのではないでしょうか。
「価値は、企業のBack stage(エンジニアリングPart)の取組で生み出され、Front stage(マーケティングPart)の取組を通じて顧客に提供される」
すなわち “左から右に移行していく ”Value chain的ビジネス観です
(Product out/Market inのいずれであるにかかわらず)。
価値の源泉は企業のBack stageにあり、それに様々な要素が順次付加価値として付加され、最終的に製品・サービスを通して顧客に価値として提供されるというものです。
このビジネス観においては、価値を決定するのは企業であり、顧客は工程のエンドにおいてそれを享受(消費)する存在として位置づけられます(まさしくエンドユーザー?)。
「顧客提供価値」(顧客に提供する価値)と表現する向きも一部にはいらっしゃるようですが、それもしっくり感があります。
ただ、ここで一旦立ち止まって、少しあらためて考えるべき点があります。
●価値を決定するのは、果たして本当に企業なのでしょうか?
●(左→右の工程とするなら)なぜビジネスモデルキャンバス(以下、BMC)では、VPがエンドではなく中央に置かれているのでしょうか?
●そもそも何ゆえ「提供価値」ではなく、「価値提案」なのでしょうか?
それらをよくよく考えた時に、下記の様な別のイメージがわいてきます。
考えてみれば、仮に物理的にというか客観的な事実として、製品・サービスを生産するのは企業であったとしても、そこに組み込まれた価値は、顧客が「(自分にとって)価値である」と認識しない限りは、最終的には価値とはならないわけですし、そうなると、顧客こそが価値決定者、企業は価値の提案者であるという見方は、肚落ち感があります。
そういう意味においては、価値は、企業と顧客があたかも非分離の存在として相互作用を及ぼしながらの“共創−co creation”価値であるととらえるのが妥当、加えてBMCの中央に「価値提案(Value Proposition)」が位置付けられていることにも、納得感が出てきます。
また、価値の源泉は企業のBack stageだけでなく、顧客サイド(CS)にも、そしてその顧客との接点であるFront stage(CH/CR)にも、さらには、Profit Formula(C$/R$)にもあり、それらが並列的かつ相互に作用し合って、価値を創出しているとの認識も比較的自然にわいてきやすい感がします。
それだけではありません。BMCはあくまでも外界との境界が設定されての“企業というシステム”の内部に関してのデザインツールですが、その両端(右がCS−顧客セグメント、左がKP−キーパートナー)は半ば外界、すなわち社会に対し開かれています。そうなってくると、下記の様な発展型イメージも浮かんできやすくなります。
右端CS側接点からは、社会課題解決のイノベーション、そして、KP側接点からは、オープンイノベーションが連想されます。そして、その社会にも膨大な数の価値の源泉が存在しており、その新たな組み合わせ(新結合)としての「新たな価値」ならびにビジネスモデル創造の可能性も、ほぼ無限大のように思えてきて、なにかワクワクするものが心の奥底からわき上がってきます。
尚、その無限大の可能性を具体的な設計へと落とし込んでいく時に活用すると効果的なのが、BMCなのでしょう。
さらに、その先に浮かび上がってくるのが、このイメージです。
こうなってくると、Value chainとは全く似ても似つかぬ別物、Value constellation(価値星座)ですね。
前掲ひとつめのValue chain的ビジネス観は、言ってみれば20世紀の環境下において効果的に機能するものとして社会に広く浸透していったものと考えていいでしょう。
しかし、21世紀の今、そしてこれからにおいては、二つ目および三つ目のビジネス観、さらには、最後にご紹介した世界観へと自らを進化させていく必要があるのではないでしょうか。
また、BMCについては今や、21世紀におけるビジネスモデルデザインの世界標準ツール・メソッド、共通言語としてのポジションを確固たるものとした感がありますが、せっかくBMCを使っても、描き手のビジネス観・世界観がひとつ目のもの主体のままであった場合は、残念ながらそのパワーを十分に活かしきれない恐れは、決して低くないことでしょう。ビジネス観・世界観を進化させつつ、日々深めていきたいところです。
尚、星座の詳細を語るには、まだまだ私は非力、もっともっと実践知の獲得が必要でしょうね。精進します。
以上、私の徒然なるままの妄想におつきあいいただき、大変ありがとうございました。
それでは