何も考えない時間が生み出すもの_Yes, And番外編
今年の3月から、ふと思い立って(いや、実はずっと思っていた。運動しなければと)ピラティスを始めることにした。ヨガかピラティスか、その違いもよくわからず漠然と迷っていたのだが、yuriyuri(石田ゆり子)がピラティスをやっていることを思い出して、なんとなくピラティスにしようと決めた。
そしたらなんと、コロナのおかげでスタジオが休みになり、何より行く気もしなくなり、スタジオ側の救済措置(とりあえず月謝免除)にも甘えて、ずーーーっと何もせず……、冬が来た。
スタジオから「救済措置のおかげで個人レッスンチケットがたまってますけど、きませんか?」と電話がかかってきて、「じゃ行く」とふらっと立ち寄った。
ほんとに、ふつうの格好(さすがにジーンズは穿かなかったが)で、手ぶらでスタジオに(自宅から徒歩圏内)でかけて、手を消毒して体温を測って個人レッスンが始まった。
「はい、じゃまずはロールダウンから〜」という軽やかなコーチの声に従って、何も考えずに言われたとおりに身体を動かす。
ふだん使わない筋肉や筋が悲鳴をあげるけど、それは無視。めちゃくちゃ痛いときも、痛いとか言わずに、「あぁ痛いなぁ……、すごく痛いなぁ」と思いながら、とにかく言われたとおりに動かす。途中、あまりに痛くて笑いがこみ上げてきちゃったけど、それも無視して、身体を動かす。
コーチも大したもんで、思わず「痛っ!」と言っても聞こえないふり。「ラスト2回〜。吸って、吐くーーーーーー。はーい、じゃあ次は……」と1時間の間、休むまもなく次々、手足を伸ばしたり、背骨を丸めたり、吸ったり吐いたりする。
「前回やったこと忘れてますね」とか言われると、「そりゃそうよ。ピラティスだけやって生きてるわけじゃない」と思うけど、まぁ、その道の先生はその道にひたすら厳しくあってくれる方がこちらにはありがたい(ように思う)。
というわけで、ちょっとしっかり身体を動かすことに集中する時間をつくることにした。「何も考えない。手や足や、筋肉を意識しながら動かす」という時間が、この人生にどんな影響を及ぼすのか。実験だ!
文責:片岡峰子