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なぜ今あなたにMazeが必要なのか

ビフォアコロナ、アフターコロナ、ニューノーマル、時代は大きく変わりました。働き方もリモートが当たり前になりました。一方で、人と人が直に会うことに制約ができました。

今までは、訪問営業できていたのに、今は会えない。社内の人とも、ZoomやTeamsを通じてでなければつながることもなくなってきました。

終身雇用からジョブ型雇用へとシフトしている大手企業が現れはじめました。これは、企業に務めていても「ご指名」がないと仕事が来なくなるということです。

会社であればすぐそばにいる同僚やチームを巻き込んで仕事をしていく、というのが当たり前でした。ジョブ型にシフトするということは一人ひとりの成果が見える化されつつ、チームで協力するという形態にシフトし、フリーライダーが生存できなくなるということです。

私自身は、コロナは別として、先々の時代を見通して、保守的な官僚的大企業を変革しています。2019年秋、NTTグループでも類をみない規模で全社にSalesforceを導入。業務プロセス、マーケティング・セールス、R&D、ビジネスモデル、組織・マネージメントの領域をすべて同時に変革する「マルチレイヤーイノベーション」に挑戦し続け、全社経営改革を軌道に乗せています。2020年にコロナ禍となり、Salesforceが入っていたために、社内の情報共有が以前より格段に良くなりました。個々人の成果が見え、組織より個々人を意識することが増え、活気が落ちることはありません。それでいて組織間連携が密になり、マーケティングの施策では技術部、営業部門、マーケティング部門が協働するようになり、オンラインセミナーを開催しています。ダッシュボードにより売上予測、予実管理の共有が可能になっています。

この実績が評価されSalesforce社、老舗マーケティング会社、国立大学などから、そのマルチレイヤーイノベーションに関しての講演の依頼が続いています。

世に言うDXとは、本来、このように物事をあらゆる面で良い方向に変化させることです。企業がITの力を使って事業の業績や対象範囲を根底から変化させる、という意味だったはずです。しかしながら、多くのIT企業のDXのセミナー、情報発信を眺めてみても範囲は業務改善、クラウドシステムへの移行を中心としており、私が実践している「マルチレイヤーイノベーション」に達している事例はありません。

私自身は、30代前半に企業内起業に成功しています。しかし、社内の政治的な権力争いに巻き込まれ、ゴミ溜め組織に左遷されています。その窓際組織から全社の問題点を洗い出し、虎視眈々と全社の経営改革のチャンスを狙っていました。その際に、BMC、VPCが非常に役に立ちました。それでも、そのうち行き詰まりを感じるようになりました。なぜなら、どうしても「組織の力学」が攻略できない。その無形の暗黙の壁、圧力、攻撃、手強い。どうにも活路が見いだせない……。

書籍 THE INNOVATION MAZE 邦題『イノベーションの迷路』の源流である、FORTH INNOVATION METHODは、表面下に組織をHACKする方法が描かれています。多くの気づきがあり、世界の見方が変わりました。しかしながら、分断化が進んだ日本企業には、襷に長しである感が否めません。日本の老舗大手企業は、ボトムアップ、ミドルアップミドルダウンのスタイルが多い。トップダウンを前提とするFORTH INNOVATION METHODがフィットしないことがありました。しかし、その突破口は、 THE INNOVATION MAZEに書かれていたのです。

『イノベーションの迷路』ハイス・ファン・ウルフェン著、サウザンブックス社、2021年

そこで、2019年に翻訳出版のためにクラウドファンディングに挑戦。多くの方の協力により2021年1月に出版することができました。

下翻訳から本翻訳に至るまで、何度も繰り返し、 THE INNOVATION MAZEを読みました。そのなかで、私自身が全社経営改革に自信を持って挑戦していけるだけのいくつものヒントを得ることができました。私の中で「マルチレイヤーイノベーション」を進めることと、 THE INNOVATION MAZEの翻訳出版のプロジェクトはシンクロしていました。

2018年から3年かかりました。そんな、旅路を経てきた『イノベーションの迷路』。クラファン協力者向けに2020年12月27日と2021年4月24日にオンライン・オフラインのハイブリッドで読書会を開催しました。これまで、お話したとおり私のイノベーションの取り組み実績を紹介しながら、集まった参加者とともに、組織学習の手法を取り入れた読書法で「イノベーションの迷路」をそれぞれの脳にダウンロードしていきます。

読書会では、「もし、原著者であるハイス・ファン・ウルフェン氏がここにいたら、イノベーションについて何を聞きたいのか?」、参加者がそれぞれ、5〜6つの「問い」を立てます。

その問いは、他の参加者へと託されます。その「問い」の答えは、目の前の書籍『イノベーションの迷路』に書かれています。「問い」を受け取ったメンバーは、その答えを書籍『イノベーションの迷路』から探します。メンバーの経験や知識を付加したリッチな答えが参加者全員シェアされます。5名の参加者であれば、自分の手元に集まる4つの「問い」はすべて他の人の立てた「問い」です。ここですごいことが起こります。

自分は1を場に提供します。受け取るのはその4倍です。ひとりが4つの問いを他の4人に提供します。他の4人から合計16の答えが受け取れます。これが相互に起こるのです。お互いのGiveがその組織の中でメッシュ化するのです。これが組織学習です。イノベーションを始めるとき、メンバのナレッジセットは凸凹です。これを整え、お互いの指向性や考え方の特性を短時間にチームで共有することで、同時にチームビルディングも可能になります。

それだけではありません。

ファシリテーターは、本来は場を創ることに専念し存在を場の中に溶け込ませる、という理(ことわり)があることも知ってはいます。しかしながら、アチラコチラで目に触れる日本のイノベーションは、まるでイベントのようです。組織のなかでの決して美しくはないエゴ、パワーウオーズ、ポジション争いなどいろいろな濁流がある中で、イノベーションは破壊と創造を同時に進めることです。本当のイノベーターが向かう先は、決してきれいなものばかりではありません。組織や人の汚い部分をたくさん見聞きすることもあります。罵声を浴びたり、徒党を組まれて一対多で戦わなくてはいけない局面にあったり、いろいろなことが起こります。また、その実体験を持つ人は多くはありません。この読書会は、私の実体験と書籍『イノベーションの迷路』での気づきと理解。BMC、VPCを何重にも張り巡らせた社内攻略の手法。これらを織り交ぜて実施します。
イノベーションは単なる「手続き」ではありません。想定外のことが起こるゆえに、ハイス・ファン・ウルフェン氏はプロセスを大切にします。想定外を極小化し、想定外が起こっても元のプロセスに戻れる。そして、前に進む。それをリアルタイムで体験しながら、起きたこと、体験したことをモデル化し分かりやすく、大切に思うイノベーターたちに共有する読書会は、「イノベーションとは?」そして、「イノベーターとは?」の2つの局面に同時に触れることができる読書会となりました。

リアルに集合することが叶えば、オフライン・オンラインの
「THE INNOVATION MAZE 初級講座」
「THE INNOVATION MAZE 応用講座」
を順次リリースしていく準備を進めています。

それまでに、私自身、現在進めているマルチレイヤーイノベーションをより広め、組織に浸透させているでしょう。新たな知見を手に入れているはずです。

たくさんのギフトを用意して、みなさんとお会いできることを楽しみにしています。

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