人の創造性
今回のメルマガは、私の講演内容への質問やコメントへの回答を絡めながらお送りいたします。
- Q1)スタートアップにジャンルの特徴はありますか?
A1)いい質問ですね。答えはGijs Van Wulfenの著作「THE INNOVATION MAZE」に書かれています。技術起点、アイディア起点、顧客課題起点、ビジネスチャレンジ起点とよっつのパターンがあります。しかしながら、やるべきことは10個と同じですが、起点によってその順番が違います。詳しくは、「THE INNOVATION MAZE」の翻訳出版を待っていてくださいね!
- Q2)対話から組織の中にあるインテリジェンスを生み出す方法。
A2)私も知った時から、ずっと感動の中にいるのですが、FORTH Innovation Methodの中にその方法が導入されていました。簡単には、問いを立てます。例えば、「なぜ我々はイノベーションを起こさなくてはならないのか?」とします。参加しているメンバーに同じ色の付箋紙、同じ色のペンでその答えを書いてもらいます。ペアになってもらって、それぞれの付箋紙を読み上げてもらい、パートナーは「何故ですか?」と聞いていきます。そうすると、その人の本質的な答えが表出し、それが組織で共有されます。FORTH Innovation Methodのプロセスはこのように、組織のメンバーの本当の考えや気持ちを、付箋紙とペンにより表出化させ共有し、参加者全員に浸透させていく、野中郁次郎先生のSECIモデルを内包しています。その表出化した意図が折り重なる事で、組織ならではのインテリジェンスが生み出されていくのです。
- Q3)特許と口酸っぱくいうエピソードとは?
A3)私自身が特許発明を1999年に出願し、開発、ビジネスモデル構築、マーケティングをほぼ単独で担い、未だにこの特許を起点にして生まれた事業は世界シェアトップを維持しています。
販売力がある会社ではない事を前提に戦略と業務設計をしておいたので、嫉妬妬みから私が閑職にやられても、このビジネスは盤石でした。そのコアが特許です。競合会社や代替品が参入してきても、結局のところ、要件を満たせないので市場から退場していくことが多々ありました。強い特許と強いビジネスモデル、そして勝てるマーケティングが重要です。
- Q4)組織を暗躍するメソドロジーとは
A4)まず、ご自身にダークサイドを許すことです(笑)。組織とはおもしろいところで、悪党の方が出世したりします。それは事実として受け止め、もっと重要なことは、目に見える構造と、会社内の現象から目に見えない構造を把握すること。それぞれの組織のプロトコルを読み解くことから始めます。これが基本。
私の場合、会社内にマーケティングの機能も組織もない、という点に着目しました。パンフレット、ウェブを企画制作するという社内向けサービスを展開しました。そうすると、すべての部署から相談が入ってきます。戦略が描けてない商品、管理職、経営幹部のマネージメント不全など、社内のあらゆる部署、あらゆる階層での状況がリアルタイムにオフラインで把握できる、という状況を作り出しました。
あとは・・・マーケティングシステムを握ることで組織化することに成功しました。このように、組織の構造を把握することが第一歩です。
これ以外には、AIに関するコメントが多かったのですが、「考えない」人が増えているようです。
考え方を知らないことに起因している人もいるので、考え方を教えると、考えるようになります。
それでも考えない人がいます。そういう人は、AIに飼ってもらうと幸せになれるでしょう。
ビジネスの世界、会社内の業務を考えると、マーケティングセールスは定型化されシステム化されていきます。
財務会計も同じく、物流も同じです。
人の創造性のあり場所は、
Observe and Learn
だれかハッピーにしたい人を観察し洞察し類推し、Painを解消する、Gainを創り出す。そのためにどうするのか? これは人にしかできないことなのです。
人にしかできないこと、それは、バリュープロポジションデザインです。
バリュープロポジションを生み出す、知の泉から智慧を汲み上げ知的財産として結晶化していく。
これが、人にしかできない、人にとって、とてもとても大切な事なのです。