「情報」から「実験」へ
ビジネスは「情報」から「実験」へフォーカスせよ
このメルマガでたびたびご案内した「ビジネスモデルキャンバス・マスタークラス2019」(主催:(一社)Japan Innovation Network、富士通㈱/ 後援:一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会)
2度目の東京開催を、100名の参加者(うちBMIA会員さんが30名!)と共に2日間楽しみました。
photo by Ryusuke Koyama
内容は前回(2013年)から半分以上が変更され、Value Proposition Designのコンテンツを元に「仮説検証と組織文化」を増強、強調していました。
筆者の主観ではありますが、特に注力されていたキーワードを共有しましょう。
1)迅速なビジネスモデル構築とパターン学習
前回を踏襲し、ビジネスモデル・キャンバスやバリュー・プロポジション・キャンバスを用いたエクササイズはすべて、6分間以内のペアワーク。何よりもスピード重視の進行は、参加者を飽きさせず手を動かし続ける「Learning by Doing」を基本骨格にした、極めて効率的な学びを得られました。
photo by Ryusuke Koyama
2)仮説検証により“証拠”を積み重ねる
顧客の言動と行動(支払意思)は異なるものであり、本当に利用するか、支払うのかを実験で確かめながら不確実度を低減するさまざまなノウハウが提供されました。象徴的だったのはBMC・VPDの書籍はほぼ全員が購入していたにも関わらず、アレックスが「実践してみた人は?」と問いかけたところ、たった2名しか挙手がなく(!)、「知っている」と「実践する(できる)」の乖離を再認識させられました。
故に、BMIAは「実践し合う」コミュニティーを標榜し、構築し続けているのです。
photo by Ryusuke Koyama
3)失敗を許容し実験を奨励する風土
大企業においては「既存事業」と「新事業」の取り組み方や評価手法を明確に区別する「両利きの経営」が提示されました。
特に不確実性が高く成功確率が低いイノベーションを推進する組織風土を、Amazonの事例を用いて「カルチャーマップ」で分析したり、既存事業を担う組織とは別傘での「イノベーション推進チーム」を構築するエクササイズがありました。
イノベーション部門長を「Chief Entrepreneur 」と名付け、CEOと同等か準ずる権限を与え実験と学習を継続し仕組み化することが重要だというメッセージです。
photo by Ryusuke Koyama
筆者が確信した所見は以下の通りです。
情報の整理・分析を元にしたオペレーションは、新事業創出においてまったく意味を持たず、むしろ科学的実験の手法とデータに基づく意思決定こそが、イノベーション創出には必須である。
2日間を終えた参加者の皆さんを含め、これで150名以上の「ビジネスモデルキャンバス国際認定マスター」が誕生したことになります。
各々の持ち場で、ビジネスデザインやイノベーション推進が加速することを、BMIAも更に支援していこうと思います。