人の持つ相互接続という特性が 循環からダイナミクスを生みだす
こんにちは國井です。
寒い日が続きますが、お体いかがでしょうか。
今回は、ビジネスモデルオリンピア2018のテーマとも関係してくる都市とイノベーションについて、書かせていただきます。
ハーバード大学教授 都市経済学者エドワード・グレイザーは著書「TRIUMPH of the CITY」(日本語版:都市は人類最高の発明である NTT出版)にて、
- 都市の持続的な強みは、人類の極度の社会性を反映している。
- 相互に接続するという人の能力は、人類の決定的な特徴である。
とし、ヒトの種としての成長を、都市は、他の人間と密接して存在するという長所により支えたと言います。
また、物理学者ジェフリーウェストは、TED Talks「都市および組織の意外な数学的法則」の中で
- 都市の人口が2倍になった時に、必要な資源は2倍以下だということ(道路の長さ、ガソリンスタンドの数など。どの地域のどの事象を取っても、両対数グラフで傾斜が0.85であるという)。
- 都市の人口が2倍になった時に、生み出されるものは所得、GDP、クリエイティブ人口、特許、犯罪も15%多くなる。
というエドワード・グレイザーの主張を裏付ける統計結果を示しています。
都市化については、両氏とも過密から生まれる様々なネガティブな要因として病気や、犯罪、享楽、不道徳、よりよい機会をめぐる激しい競争や、他人との接触の多さからくるストレスについても言及していますが、それを踏まえても都市化は、人の知性の進化に大きな寄与をしていると主張しています。
構造人類学者クロード・レヴィ=ストロースは、
「インセストタブーが既知のあらゆる人間社会において、形の違いはあれ必ずこのタブーが存在するのはなぜか」
という問いに、従来の遺伝学なども含めた解釈をよしとせず、次のように結論づけます。
- 「近親相姦を禁じる規則というのは、自分の母、姉妹、娘との結婚を禁じる規則というより、母、姉妹、娘を他者に与えさせる規則という方が正しい。すなわち、典型的な贈物規則である」※母系社会では、父、兄弟、息子が媒体となる。
- 「これらの結びつきが文化のコンテクストを構成する」
- 「インセストタブーが出現する以前に、文化は存在しない。タブーが出現することによって、自然は人間にとって唯一の王国ではなくなる。近親相姦を禁じる規則が登場するという現象は、自然に転じた火種から、新しく、より複雑な構造が生まれるプロセスといっていい。この新たな構造は、精神活動のより単純な構造に自らを上書きし、全体を統合したのと同様である。要するに、新たな構造は新たな秩序をもたらすと同時に、それ自身が新たな秩序に他ならない」
いずれにしろ、人の持つ相互接続という特性が、循環からダイナミクスを生みだしている、それには根源的なルールや生活圏の密度が関係するということになります。
そうなると、これから人口が大きく減っていく日本はどうなるのか? ということになります。
エドワード・グレイザーは、都市はアイデアを生産することで発展すると言います。
アイデアは、既存のアイデアや技術の今までにない連結であり、その為に必要なのは、産業、文化あらゆる面での多様性の確保と、それらが接触し混じりあう状況を作り出すことです。
更に都市とはインフラではなく、あくまで人であるとも言います。この辺りにヒントがありそうです。
その議論については、2月12日のビジネスモデルオリンピアでの講演とパネルディスカッションにてさまざまな解決のヒントが提示されることを期待したいですね。
追伸)
エドワード・グレイザーは「本からGoogleに至るまでヒトの根本的な社会性を変えられなかった。新しい技術は対面でなくとも学ぶことを容易にしたが、それでも相手と直接会うことによって得られる追加の利点は排除されていない」と言います。
会場に来ていただかなければ得られないものがあります。
是非ご参加ください!