ビジネスモデルデザインを4次元で考える
みなさん、こんにちは、理事の岡田明穂です。
私は、中小企業診断士としての仕事の性格上、業務の中でビジネスモデルキャンバスを使う機会が、ありがたいことにとても多くあります。
このところ、ビジネスモデルのデザインをお手伝いするにあたっては、「4次元の視点」で描いていくと深みというか、肚落ち度が高いな〜と感じることが多くなっています。特に、お手伝いする企業の社長さんとご一緒に描いていく際に。
「4次元の視点」とは、下記のとおりです。
- 1次元の視点:点の視点
- 2次元の視点:平面(線と面)の視点
- 3次元の視点:立体の視点
- 4次元の視点:上記に時間軸を加えた視点
加えて、イノベーションに関するお手伝い業務を5つのカテゴリーに分類し、それぞれに上記4つの視点を対応させると、下表の様になるのではと思っています。
カテゴリー4の具体的シーンとしては、例えば、数的集客力に優れている(反面、利益率が低い)ビジネスモデルをフロントエンド、利益率は高い(反面、数的集客力は低い)ビジネスモデルをミドルエンドないしはバックエンドとして連結させる様なケースや、現状の事業ポートフォリオの分析等をイメージしています。
カテゴリー5については、たとえば、創業されたい方(模索・検討ステージ含む)のお手伝い時によくあるケース ー将来的に実現したい大きな構想はあれども(漠然とではあっても)、いきなりスタート時に実現するのは困難なので、何段階かのステージに分解、それぞれのステージ毎に適切なビジネスモデルをデザインし、時間軸にそって、それらを連結させ「進化ストーリー」としてデザインー をイメージしています。
また、事業承継分野の業務でも、このカテゴリーに属する業務があります。過去ー現在ー未来の時間軸の中で、転機の都度、自社の存在意義を再定義(センスメーク)しつつ、それでいて一貫性のある「わが社の進化ストーリー」を描いていく業務です(そのプロセスは、「ビジネスモデルオリンピア2018」でも述べさせていただきました)。
このように整理して考えてみると、ビジネスモデルキャンバスを使い倒すためには、3次元以上の視点が必要ということも言えるかもしれませんね。
みなさんもご承知のとおり、ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスモデルをデザインするにあたっての共通言語として、既に世界的なデファクト・スタンダードとなった感があります。
ここまでその普及は、事業開発プロセスのリーン化が進む中で、ビジネスモデルキャンバスが有する「優れた迅速性」が高く評価されてのことであることは確かだと思いますが、ビジネスモデルキャンバスが有する優れた特性は、「迅速性」だけではありません。
物理的には平面(2次元)である1枚のキャンバスの中に、立体構造(3次元)や時間軸(4次元)をも組み込むことができる「デザイン力」「戦略構築力」こそが、ビジネスモデルキャンバスの奥の深さ・醍醐味ではないかと、私としては感じています。
そして、ビジネスモデルキャンバスのプロの使い手として、この「デザイン力」「戦略構築力」をしっかり活用し、4次元レベルでビジネスモデルをデザインする力を磨いていかねば、益々精進せねばと思う今日この頃です。