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大企業でイノベーションを進めていく

社長が折角、イノベーションの機会を創ってくれたとしても、大きな組織は「そうですか!」とすぐにうまく動くとは限りません。むしろ、うまくいかないことの方が多い。

大企業でよく言う言い訳は 
「人が足りない」 
という決まり文句です。

「みんな目の前のことに追われていて新しいことなんてやる余裕はありません!」 
これは180%嘘です。絶対に信じてはいけない言い訳です。

大きな企業になればなるほど、プロジェクトの全体像を把握することは困難になります。

取締役直下のPLは、定期連絡会の事務連絡と集めた資料のページめくりをする。他社との要人とのミーティングでスケジュールがいっぱいになる。 
決裁権者は管理監督、監査対応の為という名目の下に、ひとりの人が予算管理と進捗管理だけを担い、人と金の資源配分の最適化なんてのはどこかに飛んでいる。管理自体が目的化する。

イノベーションの瓦解、失敗とは他社との競争に敗れるというよりは、ほとんどが内部崩壊が原因です。

職位のパワーバランスから生じる致命的な問題は一度脇に置き、イノベーションを上手く進めるためには、どうすればいいのか? を実践例をベースにご紹介します。

それは、マーケティングに注力した上でのビジネスモデルデザインであり、その実現です。 
特に、技術開発系の企業では、マーケティング面で無理矢理にでもプロジェクトを引っ張るべきです。

技術開発系の企業や内政的な企業の最大の弱点は、顧客不在、ひどい場合は経営幹部が「マーケティングは虚業」などと言い捨ててしまう企業文化があったりすることです。

新規の顧客が獲得できないビジネスは死にます。確実にです。どんなサービスでも製品でも顧客は流出していくものです。

大企業は余剰があり市場でのインパクトが組織の内部、一人ひとりの肌感覚にまで浸透することはありません。 
細分化された機能設計、組織設計、責任範囲により組織はバラバラに分解されて事業全体を把握することが不可能になっていきます。

実際に自社のビジネスモデルを分かりやすく説明できる大企業経営者、経営幹部は本当に希少なのです。

BMCの右側はマーケティングです。マーケティングは想像力とロジックの両立が求められますが、技術者は目の前の実体があるものに思考を巡らせる傾向が強いので、ビジョンを始めとするイメージには思考を巡らせる力は強くありません。「測定できないもの」「数値化できないもの」に纏わる仕事を虚業と言い放つ経営幹部が上層部にいたりすると、新しいビジネスなど立ち上げようもなくなるのです。彼らは「実績はあるのか? 失敗したらどうするのだ?」という未来の破壊の呪文を唱えます。

大企業を内圧で変容させていくことはとても骨の折れることになります。大体の志あるイノベーター・パダワンは内圧による組織改革でスタミナ切れを起こし疲れ朽ち果てていきます。

イノベーター・ジェダイは大企業を動かすためには、外圧、外との取引をプロデュースします。

エンドユーザへの認知度を高める、代理店の開発、教育サポートシステムを作る。セミナーや展示会で集客する。などなどの営みをシステム化していきます。

効率的なマーケティングのためには、ABM(Account Based Marketing)の実現。そのためには、MA(Markting Autometion Tool)の導入、たとえば、シンフォニーマーケティング社が提唱しているデマンドセンターの構築運用を進めることで、認知度と案件化数を見える化し、SFAとの連携で営業進捗までを見える化していきます。 

BMCの左側のリソースマネージメントへと視点を移します。

頭の悪い優等生連中がやりがちなのは、リソースマネージメントのためのマネージメント。言い訳のためのミーティングによる自己正当化。集合無意識レベルでの崩壊への結託です。

頭の悪い優等生連中は、ビジネスを学校の試験と同じ思考回路で処理します。社長への質問回答を分かりやすく提出すればいい。それが仕事だ。これは、頭が悪い。社長は神じゃない。市場じゃない。顧客でもない。

リソースマネージメントの領域だけで、頭の悪い優等生連中と議論しても上手くはいかないのです。なので、マーケティングでバランスをとります。顧客、代理店に関する情報をぶつけていく。顧客や代理店に向けた施策を実施し、顧客や代理店とのコミュニケーションを発生させる。そうすると、そのためのリソースマネージメントが動くようになります。ビジネスモデルキャンバスの左右のバランスが生まれ始めます

このように、技術偏重な企業や内政的な企業でのイノベーションで、ビジネスモデルデザインの後、それが実際のビジネスになっていくようにするには、マーケティングで組織を回し、先導した方が上手くいきます。

社内のパワーウオーズの攻略法は、またの機会に。 

理事 三宅泰世

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