「知識」の歴史を旅する
みなさん、こんにちは、理事の岡田明穂 in Osakaです。
昨年末からここまでにかけて、野中郁次郎先生、そして、私たちBMIAのシニアアドバイザーでもいらっしゃる紺野登先生の著書を17冊、(あらためてorはじめて)読みました。サッと目を通しただけのもの、現在読んでいる途中のものも含めてですが…。
きっかけは、昨年11月1日、紺野先生をお招きしての「構想力の方法論」読書会です。参加してくださったお客様方をさしおいて、図々しくも、いの一番にサインをいただいたり記念写真も撮らせていただいたり。ひとり、はしゃいでいました。
私が、知識創造理論や知識資産という概念を知ったのは、紺野先生の「知識資産の経営」(1998年1月)においてでした。
https://www.dropbox.com/s/9oeecx5dhkdtvn2/IPSJ-MGN471016.pdf?dl=0
当時は中小企業診断士に登録し(1996年)即D証券からN経営に転職して2年後、前年には山一證券の破綻等(証券会社出身者としては衝撃でした)、日本的経営が大きく揺れている、いわゆる後に「失われた10年」といわれる時代の真っ只中でした。
そんなときに、当時の欧米経営理論偏重の流れの中で、わが国が有する組織が生み出す目に見えない暗黙知たる「実践知」に着目し、その知識資産の認識・活用・創造を唱える知識創造理論は、ある意味、私には衝撃でもありました。
「日本企業よ、自信を失うな!」と強く説かれているような感覚すらありました。
で、久しぶりにその書もパラパラ紐解いてみると、マーカーだらけ。特に目立つところは、やはりSECIモデルのところと、知識資産のマップのところ、あと、組織風土との関連のところ。あの頃は…私も若かった♪
おそらく、当時、私と同じような感覚を抱かれた方は多かったのではないでしょうか。
その他、「知識創造企業」(1996年)から、直近の「 構想力の方法論」「 WISEPLACE INNOVATION」まで、途中、関連書(フッサール等)にも寄り道しながら、時間の合間を活用しながらも一気に読み進めました(現在は17冊目、「 ダイナミック知識資産」紺野先生−を学び中)。いわば、1996年から2018年までの、“知識”の歴史を旅した感があります。
で、その旅の中であらためて思ったこと。何を今さらと言われるかもしれませんが、それは、知識創造理論は、やはりイノベーション理論であるということ。
“知識創造”を、“知識”と“創造”に分解してあえて双方のウェイトバランスを考えてみると、明らかに後者の比重が大きい理論であり、その創造プロセス(ベースとしてSECIモデル)、および実践法と思考のあり方を、時代の変化を先取りしつつ、ひたすら説いてきた実践の理論であることを、読み取れる感がしました。
その中で、紺野先生が展開してこられた論と実践内容を、著書「創造経営の戦略」(2004年)/「ダイナミック知識資産」(2007年)/「知識デザイン企業」(2008年)/「ビジネスのためのデザイン思考」(2010年)/「知識創造経営のプリンシプル」(2012年)/「構想力の方法論」(2018年)でトレース、さらには、私たちの専門領域でもあるビジネスモデルデザインもその中で位置づけると、それらが確かに一本の線でつながる感がしました。
今回の「一気読み」で得た収穫は、各書にあった個々の知見もさることながら、強固でありながらも柔軟な、この“一本の線”の美しさを感じ取れたことが、より大きなものだったような気がします。
幸い私たちBMIAメンバーは、昨年11月の読書会のように、紺野先生、そして、その他一流の識者・実践家の先生方から、直接学びをいただける機会が少なからずあります。今後も、そのアドバンテージをしっかり(図々しく?)活かし、自身の中にも、一本の線でつながる「自分なりの実践論」をデザインしていきたいもの、今、そう思っています。
今回は、いつもにもまして、徒然なるままの内容となりました。
それでは、また。